ごきげんようです。

久々に~、姜禅のお話です!
この子達書いているとほわほわして来るのです、可愛いッたら♡
趙劉要素も入っている流れになりました。

あぁ、寒くて指先かじかんでますが(今季最大の寒波到来中)、松永の頭の中は常春です、鼻かぜ引いたみたいでずるずるしてますが頭のなかh(略) 

・・・さて、本編は続きからどうぞ!! 



 

だいすきなこと

 

 

 

「お顔がにやけてますよ」

わざとつんとした言い方をしてみれば、並んで歩く相手は片眉を上げて試すように此方へ笑いかけてきた。

「羨ましいのか?」

「いいえ?」

唇を尖がらせて否定した姜維を、趙雲はまた笑う。

「お前は時々素直じゃなくなるな、劉禅様と喧嘩でもしたか?」

「違います!貴方がたに当てられただけです!!」

稽古をしていた二人へ向かって上の階の窓から身を乗り出し、子龍、と甘さの含まれた劉備の呼びかけに、殿、と嬉しそうに手を上げた趙雲を目の当たりにすれば、最近喧嘩どころか劉禅と二人で逢う時間すら無い姜維にとってみれば朝から当てられたとしか思えない。

「陛下と趙雲殿の仲の良さは羨ましいを通り越して、此方が照れくさくなります」

むくれた様な声を出しながら稽古道具を片付ける姜維に、趙雲が苦笑しながら肩を竦めた。

「ふふ、それは褒め言葉として受け取って良いのか、姜維?」

「どうぞご自由に」

いつもは冗談交じりに切り返す若者が、膨れっ面を直さないまま片付けを終えそうな様子を見て、多忙な毎日から気持ちの余裕がない状態だと趙雲は理解する。

「その様子だと随分忙しそうだが、無理はするなよ」

ぽんぽんと背中を軽く叩くと、姜維が小さく息を吐いて肩を落とした。

「・・・ありがとうございます」

「休むことも仕事・・・そうだ、これから劉禅様のお顔を拝見して来てはどうだ?」

趙雲の提案に、自分が劉禅に逢えないゆえのやっかみ半分で拗ねていると取られているらしい事に気付いた姜維は、顔を赤くして慌てる。

「!いえ、劉禅様とは、べつに・・・っ」

「ほう?そうだったか・・・」

趙雲が意外そうな顔をして鼻を鳴らした。

「実はな、先日劉禅様からお前のことを聞かれたのだ。最近ちゃんと顔を合わせていないから、姜維は元気にしているのか教えてくれ、と仰っていたのだが」

「・・・へっ・・・!?!」

「まあ無理強いする話でも無いしな・・・姜維が会いにゆかぬのならば、私から元気でやっていると伝えておこう」

しれっとした表情を作って話してみると、姜維が驚いた顔で言葉を失い固まっている。

相手の様子に笑ってしまいそうになる自分を我慢して、趙雲は更に冷静な様子を装ってみる。

「ん、どうした?直ぐに政務室へ行くのだろう?」

趙雲の言葉に、姜維がそわそわし始めた。

「あの・・・劉禅様は、本当にそのように・・・??」

ふう、と気鬱の混じった溜息をついて、趙雲は腕組みをして小さく頷く。

「ああ、少し寂しげなご様子だったが・・・お前が忙しいのならば仕方あるまい。さあ、共に軍師殿の所へ行くか。私も今日はあの方から頼まれ事があるらしいから」

「・・・そうなのですか・・・」

趙雲は話を切り上げて歩き出そうとする素振りをみせるが、相手は何やら落ち着かない様子で目線を泳がせている。

「ほら姜維、行こう」

「は、はい・・・」

「なんだ、置いて行くぞ?」

「はあ・・・」

こちらが促しても歩き出さず、そわそわしている姜維を見つめていた趙雲が、とうとう我慢できずに小さく吹き出した。

「ふふふ・・・やはりお前は時々素直じゃなくなる」

「へ?」

己の笑顔を見て、間の抜けた声を上げた姜維の額へ強めのデコピンを入れてやる。

「いてっ!痛いです趙雲殿!!何を・・・」

突然のデコピンに驚き、額を抑えながら抗議の声を上げた姜維へ、悪戯気に片眉を上げて趙雲はにやりと笑んだ。

「私からの罰だ、姜伯約」

「ばつ・・・?」

「大切な阿斗様を寂しがらせた罰。そして、これだけで終わらぬぞ」

「あとさま・・・えっ?・・・うわっ!!」

こちらからの言葉を姜維が理解する前に、趙雲は相手の後ろに回って背中をばしんと叩く。

「これからすぐ、劉禅様へお会いして来い。趙子龍の命令だ、姜伯約」

はっと、姜維が振り返って趙雲を見つめると、相手は優しく笑っていた。

「趙雲殿・・・」

「軍師殿には私から上手く言っておこう。さあ」

今度は緩やかに背中を押してやると、姜維の足が動く。

緩やかな歩みが駆け足へ変わるのに、さほど時間は掛からない。

「あのっ・・・ありがとうございます、趙雲殿!」

駆け出しながら振り返り声を投げると、蜀帝を護る龍将は軽く手を上げて返事としてくれていた。

「・・・さて。孔明には、どう説明するのだ、趙将軍?」

姜維を見送った趙雲の後ろから、含み笑い交じりの声が掛けられる。

驚いた趙雲が振り返った先に、劉備が立っていた。

殿、と趙雲は困ったように笑い返す。

「聞いていらっしゃったのですか」

「立ち聞きをする気はなかったのだが、私が出て行くとややこしくなるかと思ってな。孔明は知らぬのだろう?」

「ええ・・・。ですが、軍師殿につまらぬ嘘をついても見抜かれますゆえ・・・本当の事をお話して、私が叱られて参ります」

照れくさそうに前髪をかき上げる趙雲へ歩み寄りながら、劉備が笑顔で首を振って見せた。

「子龍は優しいな。大丈夫、孔明ならばこれくらいで叱るまい」

「だと良いのですが・・・あの方は姜維の様子も、劉禅様のご様子も見えていらっしゃると思いますから」

姜維が走り去っていった廊下の先へ目を遣りながら、劉備が肩を竦める。

「あのような若者が、もう少し楽になる様な国にしてやりたいな・・・」

そんな劉備を優しく見つめ、趙雲が小さく笑った。

「劉備殿の方が、ずっとお優しい」

「ん?そうか?」

きょとんとした表情で此方を見上げた劉備と見つめ合い、そして二人で擽ったそうな笑い声を上げた。

 

話の流れのまま勢いで劉禅の部屋まで来てしまったが、相手の都合も伺っていない事に気付いて姜維は目の前の扉を開く事が出来ずにいる。

暫く顎に手を当てて考え、取りあえず朝の挨拶を言い訳にしてみようと心に決めた時、向こうから扉が開かれた。

「!・・・おはようございます、姜維殿」

扉を開いた相手は佇む姜維を認めて少し目を丸くしたが、口調は冷静なまま挨拶をしてくれる。

「あ・・・おはようございます、星彩殿。劉禅様は、お目覚めだろうか?」

慌てて挨拶を返すと、彼女はええ、と頷きながら彼を迎え入れる様な仕草を見せた。

「御着替えも済んでいます。私はもう行く所ですから、あとはお願いします」

「星彩、誰か来たのか?」

出入り口の話し声に気付いたらしい、部屋の奥から柔らかな問い掛けが響いてくる。

星彩は姜維を部屋に入れながら、声の主へ向かって声を投げた。

「はい劉禅様、姜維殿がいらっしゃいました。・・・姜維殿、それでは」

「ああ」

星彩と入れ替わりに部屋の奥へ歩いてゆくと、会いたかった人物が椅子にちょこんと座って、意外そうに此方を見つめている。

「劉禅様・・・おはようございます」

「おはよう、伯約。わざわざ此処まで挨拶に来てくれるなんて珍しいな、忙しいのではないのか?」

「今日は少し時間が出来ましたので・・・最近は落ち着いてご挨拶も出来ず、申し訳ありません」

皆が揃う場所で形ばかりの挨拶を交わすような日々が続いている事に姜維が頭を下げると、劉禅は微笑んで首を振った。

「そのようなこと、気にしなくて良いのだ。伯約が元気にしているのならばそれで」

そう言いながら顎に指先を当てて、小首を傾げる。

「だが・・・少し痩せたのではないか?頬の肉が減ったように見える」

久し振りに二人きりの状態で顔を凝視されている姜維の顔に朱が上り、焦ったように彼は頬に手を当てた。

「だ、大丈夫です、劉禅様!お気遣い有難うございますっ」

「それならば良いのだが。伯約は頑張り過ぎるから」

目を細め微笑すると、劉禅は椅子から立ち上がると、少し離れた所へ立つ姜維へ歩み寄る。

「折角来てくれたのだ、顔を良く見せて欲しい」

姜維を見上げる小柄な劉禅は、穏やかな様子で相手の頬へ手を伸ばした。

間近で見つめる劉禅の大きな瞳は澄み切った美しさを湛えていて、頬を撫でられながらも姜維はその瞳に釘付けになっている。

と、その瞳がちらと揺れた。

「伯約・・・そのように穴が開くほど見つめられては、恥ずかしい」

目元に朱を上らせて僅かに目を逸らした劉禅の言葉に、我に返った姜維が真っ赤になって頭を下げる。

「・・・あ・・・っ!申し訳ありません!つ、つい・・・」

相手が言いよどんだ事に気付いた劉禅が、不思議そうな表情で改めて姜維を見つめた。

「つい・・・なんだろう?」

「いえ!大したことではないので・・・」

大慌てで首を振る姜維の手を取って頭を上げさせると、劉禅はにっこり笑いかける。

「はくやく?」

笑い掛けられながら呼ばれた声の響きには誤魔化しの効かない調子が含まれていて、姜維は顔を赤くしたまま暫く忙しげに視線を遊ばせた後、戸惑いがちに劉禅の瞳を見つめた。

「つい・・・ですね、劉禅様の目が、その、お綺麗だったので・・・見惚れていました」

「おや、それは・・・」

気後れしたような声とは反対の姜維からの甘い言葉に、今度は劉禅の顔が真っ赤になる。

此方の片手を取ったまま固まってしまった劉禅の手をやんわり握り返しながら、姜維が照れくさそうに笑った。

「申し訳ありません。時間も考えずに、このような事を」

姜維の笑顔を受け、劉禅は後ろにある窓を眺める素振りをして赤い顔を隠そうとしているらしい。

「あ、うん・・・朝、だったな・・・・・」

珍しく慌てているような劉禅の仕草に、姜維の顔はすっかり緩んでいる。

「劉禅様と、この様にお話出来た事が久し振りで嬉しかったものですから・・・お許しください」

「構わない・・・私も・・・」

そっぽを向いたまま言葉を止めた劉禅の顔は赤いままで、相手の見せる戸惑いが酷く愛おしくなった姜維は劉禅の手にそっと口づけを落とした。

「劉禅様、お手が冷えていらっしゃいますね」

小さく笑いながら問いかけると、相手は握られている手へ目を移してうん、と頷く。

「今朝は、冷えたから・・・伯約の手は温かい」

「恐れ入ります」

劉禅の両手を己の手で包み込むようにしながら、姜維は優しく相手の名を呼んだ。

「ところで、劉禅様」

ふと口調が変わった自分の顔を見上げた劉禅へ、姜維がにっこり笑いかける。

「先程おっしゃりかけた・・・私も、の続きは何ですか?」

此方に向き直ったはずの相手の目線が、また別の場所へ急いで動いた。

「ああ・・・あれは・・・・・たいした、事ではない・・・」

そう口に出した後で、はっと何かに気付いた劉禅が罰の悪そうな顔で恐る恐る姜維を見ると、相手は今にも笑い出しそうな表情で見つめている。

「劉禅様?」

姜維から悪戯気に問われて、劉禅は耳まで赤くなって行く己を自覚した。

「そのお言葉・・・なにやら、先程似たような・・・・・ふふっ」

「は、伯約っ!」

「はははっ、申し訳ありません!」

我慢できなくなった姜維が言葉途中で吹き出すと、劉禅をふわりと抱き締めて明るく笑い出す。

「意地悪を申しました、お許しください」

自分を包んだ優しい温みに触れて、照れくささから隠そうとしていた言葉を劉禅は目を閉じて思い返してみた。

「良いのだ・・・さっきの、言葉の続きは・・・そなたと同じ、だったから」

「さて。同じでは、この姜伯約には分かりませぬ」

とぼけながらくすくす笑う姜維の胸を軽く叩いて、劉禅は小さく膨れる。

「・・・やっぱり、意地悪だな」

「申し訳ありません、劉禅様のお言葉を聞かせて頂きたいのです」

笑いを収めて、促すような囁き声で相手を呼ぶと、胸元の劉禅の手が己の衣装をきゅうと握り締めた。

「私も・・・伯約に、逢いたかったから。逢えて、話せて・・・嬉しい」

相手の穏やかな抱擁の力が、僅かに強まったことを劉禅は感じる。

「あ、ありがとうございます・・・劉禅様」

姜維の言葉に盛大な照れを見つけた劉禅が、くすりと笑った。

「言わせたくせに、そなたのほうが照れているではないか」

「も、もうしわけありま」

「そんな伯約も好きだ」

相手の謝罪が終わる前に被せた己の言葉を放ってから、劉禅はいまが朝だった、と気付いて苦笑するけれど後悔はしていない。

それは逢えた時に必ず伝えたかった、自分の素直な気持ちだったから。

自分を抱き締めたままでしどろもどろな、でも頑張り屋でしっかり者の彼にだけ紡ぎたかった言葉。

もう少し相手が落ち着いたら朝食を一緒に取りに行こうと誘おう、と随分冷静に考えながら、劉禅は久しぶりの心温かい朝に美しい笑みを浮かべて姜維の胸に縋っていた。

 

 

 

(終わり)

 

 

姜禅なのか禅姜なのか分からない作文になっていました。

姜維はスイッチ入ると違うから!劉禅様くらくらするくらいイケメン愛発揮してくれる子だって妄想してるから!!・・・今回、そのスイッチ入る前に終わってしまいましたけど(倒)

前半の姜維への趙劉の見せつけっぷりをね、書いてるの楽しかったの・・・大人の余裕です、後輩の前では格好良く居させたい、私の欲。