とってもお久しぶりです・・・っ(コソコソ)

一年ほど更新をしておりませんで、大変申し訳ない事ばかりしておりました。
そんな状態でも、遊びに来て下さっている皆様、本当に本当にありがとうございます!!!
これからは相変わらず不定期ながらも、新作をアップして行けるように頑張って行きます。
もちろん趙備とか姜禅あたりをメインに。劉備親子が果てしなく好きな奴です。 

さて、お久しぶり過ぎるのでリハビリ的な作文になっていると思います。
のんびり楽しんで頂ければ幸いです!

 

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Happy

 

 

遠くに見える標高の高い山の頂付近が白くなると、自分たちの住む地域にも雪の便りが近くなって来た事を改めて感じる。

「つい先日まで秋の虫が鳴いていたようだが、季節の巡りは早いな」

「ええ、霜の降りる朝も増えて参りました。冬はすぐそこでしょう」

初冬の良く晴れた朝、劉備は趙雲と共に城の屋上から景色を眺めていた。

「お身体は冷えていませんか?」

隣で厚めの外套を片手に訊ねてくる趙雲をちらと見遣り、劉備は穏やかに首を振る。

「お前に巻いてもらった襟巻があるから大丈夫だ。そういうのを過保護、と言うのだぞ?」

白い息を吐いてそう笑う劉備を、生真面目な表情で見つめる趙雲。

「どれだけ過保護とおっしゃられようとも、貴方をお護りするのが私の務め、当然の心配です」

きりりとした表情でそう言い切った忠臣を、劉備は眉を下げて肩を竦めた。

「ふふ、お前らしい言葉だな」

相手の少し困ったような仕草に、趙雲が不思議そうに小首を傾げる。

「それは・・・褒め言葉、でしょうか」

なにかおかしな物言いをしただろうか、という含みのある相手の言葉に、仁徳の王はにっこり笑んで、趙雲の手にそっと触れた。

「勿論。お前らしい、というのは私の好きな子龍らしい、という意味だぞ」

「っ殿・・・!」

僅かに上擦った相手の声に気付いて、劉備が手元から顔を上げれば、趙雲の頬が赤くなっている。

こちらの動揺の意味が分からず不思議そうな表情で如何したのだ、と問いかける劉備に、趙雲は困ったような溜息をついた。

「朝から貴方はなんという事を・・・」

「?別におかしな事は言っていないが」

「ええ・・・確かにそれも貴方らしいお言葉ですから」

劉備にとって、先程の言葉は特別な物言いでは無い、と理解している趙雲は小さく苦笑いして、己の手の上に添えられた相手の手の上へ更に己が手を重ねる。

片手を趙雲の両手に挟まれ、じんわりと温みを伝えられている劉備が、照れくさそうに笑んだ。

「子龍の手は大きいな」

口元に笑みを残したまま、趙雲は目を細めて軽く首を振る。

「恐れながら・・・無骨な手でご無礼をしております」

あくまでも控えめな物言いをする相手に、劉備は優しい光を湛える瞳を向けた。

「何を言う、これは立派な武将の手。私をここまで護り続けてくれている、劉玄徳が一番に誇る手だ」

すると、劉備が見ている前で、また趙雲の顔が少し赤くなる。

「ですから、殿・・・」

その反応に、先程は分からなかった相手の赤面の意味が劉備に漸く分かって、彼は朗らかな笑い声を上げた。

「ははは、すまぬ。またお前を困らせてしまったな」

「いえ、その、身に余るお言葉ばかり頂きまして・・・」

どう返事をして良いのか、といった顔の趙雲に、劉備は親愛の情を込めて重ねられた相手の手に空いている己の片手を添える。

「子龍は私が自然とそう言える程の働きを積み重ねてくれている、という事だ。謙遜などいらぬぞ?」

気遣ったつもりの言葉だったが、相手の顔は更に赤くなって、いつもの凛とした美丈夫とは別人のようになってしまった。

周囲からはなんでもそつなくこなす、有能な武将と評価されている相手が、自分の前では酷く不器用に戸惑っている様子に、劉備の心に愛おしさが芽生える。

その気持ちに任せて、添えていた手を、相手の頭へ向けた。

「!劉備殿っ!?」

自分より背の高い趙雲の頭を、腕を伸ばしてぽふぽふと軽く撫でつけながら、劉備が可笑しげに笑う。

「すまない。子ども扱いしては怒られると分かってはいるんだが、子龍の困った顔を見ていたら、つい」

大人しく頭を撫でられながら、趙雲は目線を泳がせて耳まで赤くなっている。

「怒るなど、とんでもない。むしろご心配を、お掛けしてしまったでしょうか・・・?」

恐縮する相手へ安心させるように笑みかけながら、劉備は首を緩く振った。

「そんな硬い気持ちではないな。敢えて言うのならば、さて」

咄嗟に身体が動いた、その気持ちを言葉に置き換えようと考えながら、ちらと周囲へ目を泳がせた劉備の動きがピタリと止まる。

劉備に釘付けになっていた趙雲も、動きが止まった相手に気付いて、その視線の先へ己も顔を向けた瞬間、体の中で血の気が引いてゆく音が聞こえたような気がした。

「・・・・・ええと・・・・・おはよう、ございます・・・陛下、趙雲どの・・・」

二人の視線の先に居た人物も目を真ん丸にして固まっていたが、視線が合った事に気付いて恐る恐るといった様子で朝の挨拶を口にする。

「す、すみません・・・劉禅様を探しておりまして、あの、」

見てはいけない場面に遭遇したと思い込んで、必死にこの場に居合わせた理由を告げようとする若者の耳に、くすぐったそうな笑い声が聞こえてきた。

「ふふふ・・・おはよう姜維。朝から驚かせてすまぬな」

趙雲の頭に手を置いたまま、劉備が諸葛亮の弟子である若者へ明るい声を掛ける。

その声の気楽さに、咎められるかと硬くなっていた姜維は心なしかホッとして改めてきちりと頭を下げた。

「おはようございます!その・・・申し訳ありません、お邪魔を」

「いいや、そなたが来てくれて丁度良かった。おかげで子龍への言葉を思いついたから」

「?」

劉備の話の内容が分からず首を傾げている姜維に構わず、彼は趙雲へ向き直って穏やかに子龍、と呼びかける。

「謙遜もお前の美しさ。そして正直さもお前の美しさ。それが改めて分かったことが嬉しくてな、手を伸ばしてしまった。赦してくれ」

そっと手を相手の頭から離して、劉備は静かにそう告げた。

「とんでもありません。劉備殿のお優しき心、しかと受け取りました」

姜維を上手くあしらってくれた劉備へ目で感謝を伝え、頭を深く下げると、相手はうんと穏やかに頷いてくれる。

そんな二人を見入ってしまっている姜維に、趙雲が顔を向けた。

「姜維、劉禅様を探しているのではなかったのか?」

先程までの顔を赤くして劉備に頭を撫でられていた彼とは打って変わって、いつもの凛とした佇まいの趙雲に戻っている事に気付いた姜維が、少し慌てた様子でええと、と言葉を濁す。

「そ、そうでした、思いつくところは探したのですが・・・お見かけしませんでしたか・・・?」

照れ隠しの反動から言葉がややきつくなっている趙雲を声音で宥めようと、劉備が敢えて落ち着いた優しい声で忠臣へ話しかけた。

「公嗣が朝から居ないとは珍しいな。子龍、心当たりはないか」

劉備の問いを受けて趙雲がうん、と顎に手を当てて考える素振りを見せる。

「私もお見かけしておりませんが・・・ああ、馬岱殿はご存じかもしれませぬ」

ある一人の世話好きな男の名を耳にして、姜維の顔がぱっと明るくなった。

「成程、馬岱殿ですか!ありがとうございます、趙雲殿!!」

新たな捜索先を教えて貰った姜維は、急ぐからと礼もそこそこに駆け出してゆく。

忙しない若者の背を眺めて、劉備はやれやれと溜息をついた。

「相変わらず公嗣は姜維を困らせているようだな」

「しかし姜維は嫌ではないと思います」

「うん?」

並んで立っている趙雲の横顔を見上げると、彼の口元には微笑が浮かんでいる。

「私と同じですから」

「同じ・・・性格、とか?」

「そうですね。大切な方をつい甘やかして過保護にしまう所はそっくりかと」

趙雲が此方を見つめて、悪戯気に笑みかけてきた。

「・・・ええと」

甘やかされている自覚のある当人は、その言葉に上手い返しが出来ず、気恥ずかしげに目線を泳がせてしまう。

そんな相手のたおやかな様子に、趙雲は目を細めて口元を綻ばせた。

「ですから、姜維の事はご心配なさらず」

片腕にかけていた厚手の外套を劉備の肩にふわりと着せ掛け、そのままそっと背中へ手を添える。

「さあ、お身体が冷えます。殿がお風邪など召してしまわれたら、今度は軍師殿から叱られてしまいますよ?」

ありがとう、と外套の前を手繰りながら、劉備が肩を竦めた。

「そうだな、蜀の軍師殿は誰かさんと違って、劉玄徳を甘やかしてはくれなかった。気を付けるとしよう・・・ああ、ここだけの話だぞ?」

「勿論、承知しております」

そう言うと互いに顔を見合わせ、悪戯気に笑いあう。

冬の乾いた冷風が一陣、温かな気持ちを分け合う主従の頬を冷ますように、ひやりと吹き渡って行った。

 

馬岱の元へ急ぎながら、若者は先程の光景を思い出している。

困ったように、でもどこか嬉しそうに頭を撫でられていた趙将軍の様子と、そんな彼に優しく笑いかけながら手を伸ばしていた蜀漢王の関係を、姜維は羨ましい、と素直に思った。

自分も、あんな間柄になれるだろうか、という願いがふとよぎって、彼は慌てて独り首を振る。

若き臣下のそんな願いを叶えるには、まずこの城内での隠れんぼを終わらせなければならない。

今日こそはあの方に強めの一言を、と姜維は固く誓って扉を開けたが、室内から響いた伯約、おはようというまろやかな声に、彼は途端に眉を下げておはようございます、と嬉しげに返す事しか出来なかった。

 

 

(終わり)

 

 

リハビリがてらのお話、となりました。

再スタートの意味も込めて、朝設定のお話です。

三國無双での作文は一年以上ぶり、となってしましまして、その、申し訳ありません!!

一時、燃え尽きた感が凄くて、そんな中で中途半端な作文を書くのはムソファンの方々に申し訳ないと思って放置してしまっておりました・・・

戦国の方と共に、こちらもまた少しずつ作文を増やしていきたいです。

なので、原動力の為にどなたか劉備殿や趙雲下さい(おい)

助け合い萌えって大事じゃないかと(巡り合い宙、的な)