こんにちは!深夜ですがこんにちは!!
連休も終わりまして、今度は梅雨の話が近づいて来そうな時季です、いかがお過ごしでしょうか?
一カ月ぶり、位の更新となりまして相変わらずのマイペースで申し訳ないです。
元気にしておりました!

いつも拍手、コメント下さいましてありがとうございます♥
こちらから直にお返事できないのが申し訳ないと思いつつ、本当に嬉しい気持ちで読ませて頂いております!体調悪くても元気になるくらい、拍手やコメント頂けたときの喜びパワーって凄いものだと。
自分の作文力にがっかりする事もありますが、諦めないでもっと楽しんで貰える、自分も楽しめるお話を書いて行きたいと思います!

ええと、今回はちょっとガッツリめの趙劉話です。
色っぽい部分もありますので、カップリング話が苦手な方はご注意ください。
本文は続きボタン以降に。

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細月の囁き

 

 

 

しがみつくように相手の胸元へおのが身を預けた劉備は、なぜだ、と責める様な声を出した。

「そなたにとって、私と交わしたあの言葉は一時の言葉遊びだったのか!?」

「お、お待ちください、一体なんのお話を・・・」

深夜に己の部屋の扉を叩いた人物が劉備だった、と言う事だけでも彼、趙雲にとって混乱する事態なうえに、その人物がいきなり胸元に飛び込んできて詰問を始めるのだから、狼狽の言葉しか出てこないのは当然である。

急いで相手の言葉を整理しようと頭を働かせる趙雲の鼻孔を、こちらに抱き付いている劉備の髪につけているであろう香油の優しい香りが、そっとくすぐった。

廊下の先の暗闇とその甘い香りに、一瞬くらりと衝動に誘われそうになる。

ここが部屋の出入り口でなければ危うかった、と趙雲は慌てて我に返り劉備の肩に手を添えた。

「殿、落ち着いて下さい。取り敢えず中にお入りください、私の不心得はそこで承りますので・・・」

嗜めて身体を離そうとしたが、今夜の劉備は趙雲の服を親に甘える子供の様にぎゅっと握って首を振る。

「また、子龍はそうやって事務的な話し方をする」

不貞腐れた様な、でも悲しげなその声に、趙雲は戸惑いながら相手に断りを入れて半身になって背中へ腕を回し、再度部屋の中へ誘うと、彼は漸くその勧めに従った。

「・・・劉備殿、どうなされたのですか?」

主を落ち着かせようと二、三人が腰掛けられる程の長椅子に並んで座れば、劉備が趙雲に甘えるように肩口に頭を預けてくる。

その初めての距離感に、趙雲はどう反応してよいのか分からず、身体が固まってしまった。

「あの・・・との、」

「子龍・・・そなたの語った好き、という言葉は、このような触れ合いを不要としている好き、だったのか?」

「え?」

こちらの話の意味が分からない、といった顔をする相手の胸元の服を掴む劉備の手に、力が籠る。

「私は、そうではなかったのに」

 

数か月前、劉備とある若者は長い付き合いの中でそれぞれ大事に隠していた気持ちを伝えあい、ようやく想い人としての間柄となった、はずであった。

劉備の想い人、趙雲子龍は相手の告白を受けた時には目尻にうっすらと涙を浮かべ、深く頭を垂れながら自分も劉備を慕っている、なんという幸せなお話を、と語りこちらの手を取って喜び、受け入れてくれていたように見えたのに、次の日からはそんなひと時など無かったかのようないつも通りの様子で、甘い素振りも見せず、劉備の護衛を淡々と務めている。

劉備としても趙雲とのことは表立っては言えぬ間柄だと理解しているので、そんな相手の様子はこちらへの気遣いなのだろうと思って彼も今まで通り主従の立ち位置で付き合っていたのだが、それが一カ月も続くと小さな疑問が生まれてきた。

二人の関係が、告白の時点から全く進展していないのである。

お互い慕い合っている、と分かれば相手の事をもっと知りたくなるだろうし、触れ合いたくなったりする衝動も起きるだろうに、趙雲からそのような言動が劉備に伝えられることが一切無かったのだ。

試しに劉備からほんの瞬間的に趙雲へ目配せをしてみたり、笑い掛けてみたりした時には小さく笑み返してくれたりするのだが、相手からそれ以上の反応が返ってくることは無い。

またそれに加え、この所お互いに忙しく、二人きりになれる時間も無かった為に、劉備は趙雲と距離が縮まるきっかけも作れないまま、ふと気づくと数か月が経ってしまっていた。

その日も忙しさに追われた一日を過ごし、ぐったりしながら寝台に腰を下ろした瞬間、劉備は何とも言えぬ寂しさに襲われる。

その時、彼の口から子龍、と囁くように相手の名が零れ落ちた。

彼が己の手を握ってくれたのは、あの日のほんのひと時だけだった、と思い出した途端、酷く哀しくなってくる。

なぜ、趙雲はいまでも臣下の立場のまま自分と付き合い続けているのだろうか。

なぜ、相手は自分に触れようとしないのだろう。

ひとつの「なぜ」がどんどん派生して劉備の心が暗くなって行く。

数か月間、我慢し続けてきた彼の心が、寂しさと疑心暗鬼に満たされて限界となっていたらしい、不意に沸き起こったつれない相手への苛立ちが生まれた劉備は、すっと立ち上がると早足で扉へ向かった。

こんな気持ちで眠れる訳もないのだ、嫌われても良いから相手の本心を聞かねばならない、と切実な思いで彼が向かったのが、趙雲の私室だったのである。

 

あれから数か月間、慕い人らしい言動をしてくれなかった、と劉備から責められるような事を言われた趙雲は困り切った表情で目を泳がせていた。

「申し訳ありません・・・殿を、そのように悲しませてしまっていたとは気付かず・・・」

「では子龍は平気だったのか?寂しくなかったのか?」

胸元から顔を近付けて劉備が膨れっ面をすると、何故か趙雲は顔を真っ赤にして目元を手で覆ってしまう。

「そ、そのようなことは決して!」

「?では何故そなたは平気な顔をして、私に触れる事もせず過ごしていられるのだ」

「・・・・・あの、それは・・・」

「ちゃんとこちらを見て答えよ、子龍」

趙雲はおずおずと目元から手を外して劉備を見つめると、嗚呼と呟いて溜息をついた。

「お許しください、劉備殿」

相手の謝罪に、劉備の眉間に皺が寄る。

やはりあの告白は主従としての思慕でしかなかった、と忠臣は謝罪に続けて口にするのだと彼は思った。

これまでの数か月間は、己が勝手に慕い人同士になれたと思い込んで舞い上がっていただけだったのだな、と劉備の中に僅かに空しい気持ちが生まれ始める。

相手の服を握る劉備の手が、その空しさから離れそうになったとき、思わぬ言葉が彼の耳に届いた。

「私は、貴方様に触れるのが怖かったのです」

「・・・・・へ・・・・・?」

趙雲からの予想外の言葉に、劉備の口から間抜けた声しか出なかったが、相手はそれを気にせず真っ赤な顔で話を続ける。

「劉備殿をお慕いしているのは本当です。いつだって私は貴方に触れたい、そのお声を聞いていたいと願っております。ですが、勝手に私が殿に触れる事が大変畏れ多く・・・今までもずっとお断りを入れてから触れさせて頂いておりましたから、急にそのような触れ合いを、と思っても身体が言う事を聞かないままで」

確かに、趙雲が劉備に触れる際、必ず一言断りを入れてから手を差し出していた事を劉備は思い出した。

「・・・それだけの、理由で?」

僅かに気が抜けたような声を出した相手に、趙雲がびっくりした様子で目を丸くして首を振る。

「それだけの事ではありません!私としては大事な話です!!」

「しかしそれは、主従としての礼儀の話ではないか。いま、この様な場で触れられないなど」

そう言いながら劉備は趙雲の様子を眺めると、彼が言う通り、それとなく自分に強く触れないようにと気遣っているらしい、不自然に両手が宙で遊んでいて、思わず笑いそうになった。

手のやり場に困りながら、趙雲は眉を下げて肩をすくめる。

「主としても、立場を離れた劉備殿ご本人だとしても、私には畏れ多い、大事な御方なのです。不用意に触れては、貴方を傷つけてしまいそうで怖いのです」

まるで自分を聖人君主のような言い方をする趙雲に、劉備は頭を抱えて小さく唸った。

「・・・・・あのな、子龍、それは私を持ち上げ過ぎだぞ?そなたの思う程、私は立派では無いことくらい分かっているだろうに」

「いいえ、私にとっての劉備殿は、それだけ大切で尊い御方」

「しかし、いつまでも触れないのではお互いに、その・・・」

急に何か思いついて言いよどんだ劉備を、趙雲が何事かと見つめると、今度は彼が顔を赤くしていた。

「どうなさいましたか?お互いに?」

「・・・す、好きだったら触れたいだろう?だが、触れないままだったら、その、先に・・・進まないではないか」

言葉を選びながら恥ずかしそうに答える相手の様子に、思わず趙雲の口元が綻ぶ。

「先、とは?」

「それは・・・」

どう表したものかと劉備が耳まで赤くしながら趙雲の顔を見上げた時、相手が楽しそうに微笑しているのに気付いた。

「っ子龍!からかったな!」

照れ隠しの抗議をすると、趙雲は酷く嬉しそうな笑い声を上げて髪をかき上げる。

「ははは、申し訳ありません。あまりに劉備殿が愛らしかったものですから・・・」

「な、あ、愛らし・・・!?!」

始めて耳にした趙雲の口説き文句に、劉備が顔を赤くしたまま目を白黒させていると、相手から静かな声が響いてきた。

「殿、お願いがございます」

「・・・お願い?」

「貴方様の、お手に触れても宜しいでしょうか?」

目を細めて口元に微笑を浮かべた趙雲の願いを、劉備が断る理由は無い。

うん、と小さく頷くと、趙雲は壊れ物を扱うように優しく、そっと劉備の手を取った。

手の大きさや、指の長さを確かめるようにゆっくりと穏やかに自分の手を撫でる趙雲の触れ方は、まるで愛撫のようだ、と劉備は思いついてしまい、急にどぎまぎし始める。

そんな劉備の思いなど知らぬように、趙雲はほうと甘い息をついた。

「なんとお優しい手でしょうか。貴方の手にずっと触れていたい」

「・・・子龍の手も大きく、温かくて心地が良い」

自然と趙雲の胸元に寄りかかるような体勢で劉備が小声でそう返すと、耳元で相手の小さな含み笑いが聞こえる。

「ありがとうございます。では、御髪に触れても宜しいでしょうか?」

「うん・・・」

指を絡ませた形で片手を握られ、もう片手は劉備の髪を愛おしそうに撫で始めた。

両脇に流している髪を梳いたり、結い上げている髪を撫でつけるようにしながら、趙雲の唇が劉備の髪に触れる。

耳の上あたりの髪に、ちゅ、と軽い音を立てて口づけられた劉備の鼓動が跳ねあがる。

「し、しりゅ・・・」

空いた片手を己の胸に当てて、大きく鳴っている鼓動を抑えるようにしている相手を見つめ、趙雲は嬉しそうに何度も音を立てて髪へ口づけを落とした。

「ずっと、ずっと貴方にこうして触れたかったのです。口づけする事にお許しを、劉備殿」

両脇に流している髪の一房を手に持ち、自分に見えるように口づけをして見せた趙雲は、僅かに掠れた声で殿、と劉備を呼ぶ。

「口づけのお許しを、頂けますか?」

間近に居る端正な顔立ちの忠臣に見惚れながら、劉備は気恥ずかしげに小首を傾げた。

「いちいち私への許しなど請わなくても良い・・・私が子龍に駄目だ、などと言うと思うか?」

さあ、と趙雲は悪戯気に微笑む。

「もしかしたらあるかも知れません。先程のように、私のせいでお気持ちが乱れてしまわれている時などは」

趙雲の部屋の扉を叩いた時の、己の波立つ心情を思い出して、劉備は苦そうに笑った。

「あれは・・・・・もう、理由が分かったから良いのだ。だから」

握り合っていた手を広げ、趙雲の大きな手のひらを自分の頬に添えながら、劉備は柔らかい声で子龍、と呼びかける。

「今まで触れあえなかった分まで、そなたに触れて貰いたい。子龍の好きなように・・・私にとって、それが一番の望みなのだ」

ふわりと、趙雲の頬に朱が差した。

「劉備殿・・・」

顔に添えた相手の手が、ゆるりと頬を撫ぜる。

その愛撫に、劉備は目を閉じて甘えるように手に顔を摺り寄せた。

素直に自分に甘えてくれている相手の姿の愛おしさに、趙雲は腰に腕を回して更に身体ごと引き寄せる。

先程よりも密着した相手の胸元に手を置き、劉備が大きな目を細めて嬉しそうに笑んだその口元を、趙雲の唇が優しく塞いだ。

息継ぎが必要な程に長い口づけを何度も繰り返す二人の間には既に、主従の距離感は無くなっている。

丁寧に相手の寝台に寝かされ、細やかな愛撫の続きを受けながら、劉備は甘い声で慕い人の名を呼んだ。

耳朶にとろけ込むような響きで名を呼ばれる趙雲は、返答の代わりのように劉備のきめ細かく柔らかい肌に音を立てて愛撫のしるしをつけてゆく。

距離感の掴めなかった不器用な二人が漸く恋人になれたこの夜の出来事を知るのは、誰もいない。

もし、知っているモノが居たとするならば、安心したように穏やかに眠る劉備を抱き抱え、彼の寝室に送り届ける趙雲を弱く照らした、細い細い三日月だけだ。

薄い雲が張っただけで隠れてしまう程の弱い月光は、まるでこの二人の秘密の恋にも似た危うさだったが、それは確かに幸せそうに笑んでいる趙雲の横顔を淡く照らし出していた。

 

 

 

(終わり)

 

 

不器用な趙雲、というものを色々書いている気がしますが、今回は最上級に不器用な男にしてみました。

元ネタはちゃんと人様から頂いてしまっておりまして、ばか真面目な趙雲だったら、劉備殿を敬愛しすぎて手が出せ無さそうじゃないか?って所から(笑)

触れるにもいちいち許可を求めそうだよねって・・・あるあるしていた話を、作文にさせて頂きました!

色っぽい部分は、とりあえずまた中途半端にしてしまって・・・ちゃんと書こうと、年齢制限くらいまでの、書きかけたのですが・・・上手く行かなくって・・・すみません・・・リクエスト頂いたら頑張って書くかもしれません(おい)

逆にいちいち許可を求められるのも言葉攻めっぽくなって良いんじゃないかとか独りで楽しかったです、お付き合いありがとうございました!!