こんにちは!
なんだか趣味満載な作文をしていました。
ちょっと前からオリジナルな馬良さんを書いているのですが、今回はカップリングで書いています、孔明×馬良という・・・マニアックな方向がどうも昔から好きなようで・・・

言い訳をすると、メジャーなカップリングは上手い方々が沢山書いて(描いて)下さるので、その足元にも及ばない自分は楽しませて頂く側になるんですね。
しかしマニアックなカップリングは自作する楽しみがありまして、与えて貰えない分の熱量を製作に費やすと言いますか、ちょっと何言っているのか自分でも分かりかねて来ていますが。
兎に角勝手に楽しんで作文しています。

孔明さんは無双ベース。馬良さんはオリジナルの性格にしています。
こうやって書いていれば馬良さん無双の新キャラになるんじゃないかと(笑)
お暇潰しにでもなれば幸いです。

※いつも拍手、コメント送ってくださいまして、皆様誠にありがとうございます!!!
泣けるほど嬉しい気持ちで読ませて貰っております、こんな不定期なブログにわざわざ遊びに来て下さるなんて有難いの一言しか出てきません!
個人的な趣味嗜好満載の場所ですが、またお時間のある時に遊びに来て頂けたら嬉しいです///


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君に希むしあわせの形(孔良)

 

 

 

いつもは夕刻の鐘が鳴ってからが仕事の本番、というくらい残業を当然としている男が、今日はその鐘が鳴ると同時に筆箱のふたを閉めて椅子から立ち上がっている。

「劉備殿、今日は先に失礼いたします」

背もたれに身体を預けて伸びをしている劉備へ頭を下げた相手へ、彼は目を細めてうんと頷いた。

「今日もありがとう、孔明。ここの戸締りは子龍とやっておくから気にしなくて良いぞ」

そう言いながら近くの席で片付けをしている趙雲と目で合図している劉備の気遣いに、孔明は微笑で返す。

「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて」

「ああ。季常に宜しくな」

「はい」

短いやり取りで足早に退室して行った諸葛亮を見送った趙雲が、嗚呼と思いついたような声を上げた。

「馬良殿がいらしていたのですか」

己の机上を片付けながら、劉備は嬉しそうにうんと応える。

「城に来るのは明日だが、こちらに着くのは今日の夕方らしい。折角だから義兄弟水入らずの時間でもどうだ、と」

「それは良いご提案。馬良殿も喜ばれましょう」

「気の合う二人だ、お互いに良い気分転換にもなれば嬉しいが」

それは勿論のこと、と趙雲は頷いて、夕日の差し込んでいる開いた窓に手を伸ばした。

 

夕刻前に成都に到着した馬良は、自宅での荷ほどきもそこそこに、さっと汗だけ流して諸葛亮の屋敷へ向かっていた。

夕食を共にしないか、という相手の文の最後に書かれた追記を思い出す彼の足は自然と速まっている。

どうせ急いでもあの多忙な義兄の事、夕刻の鐘が鳴ったばかりの時間に宅内で逢える訳は無いと分かってはいるのだが、相手の宅でのんびりと本人を待っているのも馬良の楽しみの一つなので、旅の疲れなど忘れたようにうきうきと軽い足取りで目的の屋敷へ向かった。

玄関先で白眉の姿を確認した諸葛亮の使用人が、来客の声を上げたか上げないかの速さで主が宅内から姿を表す。

久し振りに見る涼やかな様子の義兄に、馬良は満面の笑みを浮かべて彼に歩み寄る。

諸葛亮も目を細めて微笑しながら季常、と穏やかに呼びかけた。

「元気にしておりましたか?季常」

こちらを迎えるように腕を広げた諸葛亮へ、馬良は嬉しそうにその手を握る。

「はい、義兄上(あにうえ)!お久しぶりでございます。義兄上はお変わりなく?」

彼特有のおっとりとした語り口を久方ぶりに耳にした諸葛亮は、朗らかな表情で頷いた。

「ええ。貴方からの文にいつも元気を貰っていましたよ」

使用人たちの前で出来る触れ合いは、手を握る事くらいしかない。

その代わりのようにお互いの無事をねぎらい合う言葉の中に、多くの情を含ませて諸葛亮と馬良は再会を喜び合った。

義兄の片手を握ったまま、馬良がふと小首を傾げる。

「義兄上・・・今日の政務は、早く終わられたのですね」

だいたいこの時間の諸葛亮は、政務室にて眉間の皺を深くしていることが多いと義弟は良く理解している。

珍しい、と素直に問うてくる馬良に、諸葛亮は擽ったそうに笑んだ。

「ああ実は、殿から今宵は貴方とゆっくり過ごすようにと言われたのですよ」

劉備の気遣いがここにも滲み出ていると知った白眉は、一瞬びっくりした表情の後、口元を袖で隠して小さな笑い声を漏らす。

「殿が・・・ふふ、そうでしたか。わたくしに義兄上を独り占めできるお時間を下さったのですね。明日お礼を申し上げませんと」

ふんわりと柔らかに笑う馬良の様子を諸葛亮も嬉しそうに見つめながら、握られた手をそっと引いて宅内へ誘った。

「そうですね。さあ季常、立ち話はここまでにして、食事をしながら貴方の話を聞かせて下さい」

「はい、喜んで」

仲睦まじく並んで歩き出す。

歩きながら馬良は、横に居る自分より少し背の高い諸葛亮の横顔を見上げて、眩しげに目を眇めた。

「どうしましたか、季常」

義弟の視線に気付いた諸葛亮が、横目で馬良を見る。

「いいえ、なにも」

そう言いながらもやっぱり嬉しそうに自分を見つめる相手に、諸葛亮は片眉を上げて苦笑した。

「ところで季常、貴方に差支えがなければ、今夜は此処で休んで行ってはどうですか?」

自分の勧めに素直に頷くかと思ったが、馬良は人差し指を唇に当てて困ったような顔をする。

「義兄上のお言葉はとても嬉しいのですけれども・・・お忙しい貴方様のお邪魔になるのは本意ではありませんし・・・」

「何を言うのですか。私が季常を邪魔などと思った事はありませんよ」

そこまで言うと、諸葛亮はついと馬良に顔を近付けて小声で先を続ける。

「むしろ、私の方が久しぶりにゆっくり、季常と過ごしたいとわがままを言っているのです」

袖に隠しながら握り合う手に、きゅっと力が籠った。

僅かに口元が開いた馬良の耳が、瞬時に赤くなる。

「義兄上・・・」

「駄目ですか?」

穏やかな声で問われた馬良は、いいえ、と慌てて首を振った。

「ありがとうございます。ではお言葉に甘えさせて頂きましょう・・・あの、義兄上」

「貴方の屋敷への遣いですね?直ぐに手配しましょう」

食事と酒の用意が整っている客室へ二人で入りながら、諸葛亮は首を回して己の使用人を落ち着いた声で呼んだ。

 

酒は嗜む程度と決めている二人は、食後の茶を飲みながら穏やかに会話を重ねている。

それでも食事中に口にした酒のおかげか、馬良の頬にはうっすらと朱が乗っており、口調も先程より甘えるような響きに変わっていた。

「とても美味しいお食事を戴きました、義兄上。ありがとうございます」

「気に入って貰えたようで何よりです」

「はい、勿論です。わたくしの好きな物ばかりでしたから」

あの料理も、この料理も、と思い出すように指を折る馬良の無邪気な仕草に、諸葛亮は微笑む。

「貴方に食べて貰うための食事です、好物を揃えるのは基本でしょう」

「義兄上の所へお邪魔する時は、いつも甘えさせて頂いてばかりですね、わたくしは」

ほの紅い頬に手を添えて恥ずかしげに笑む馬良に、諸葛亮は真面目な顔で首を振った。

「当然ですよ。貴方は私の大切な義弟(おとうと)なのですから存分に甘えて貰わなくては、義兄としての面子が立ちません」

「ふふふ、わたくし馬家の長子ですけれども、そのように弟達を甘やかしたことはありませんよ?」

諸葛亮へおっとりした口調でそう語る馬良に、四人の弟がいる話は周知の事実である。

幾度か彼の弟達を遠目に見かけたことがある諸葛亮は、幼い彼等の顔を思い出しながら長子が抱える苦労を彼なりに慮った。

「貴方には多くの弟君がいるそうですから、きっと甘えさせたらキリがないのでは?」

実弟の事に話が移ると、穏やかだった馬良の顔つきに凛とした様子が混じる。

「かも、しれません。でも・・・そうではない、かも知れません」

「そうではない、とは?」

少し言葉を止めて何か考える素振りを見せた馬良が、一瞬の凛々しさを抑えて、いつものまろやかな笑みを諸葛亮へ向けた。

「四人も居ると、不器用なわたくしでは、その場しのぎの相手だけで彼らの世話は精一杯、甘やかす以前のお話というお恥ずかしい理由なのかも、ということでしょうか」

小さい弟達から寄ってたかって相手をせびられる馬良を想像した諸葛亮は、その微笑ましそうに見える裏の大変さに笑いながらも肩を竦めて同情を滲ませる。

「ふふ・・・成程、貴方のように人あしらいが上手な人でも、幼子達は強敵ですか?」

「それはもう。彼等に道理は通じません、こちらの言う事を聞く基準は楽しいかつまらないか、ですから」

いつか連れて参りましょうか、と笑いながら問われた諸葛亮は、顎髭を撫でて苦笑した。

「私では彼等を泣かせるばかりでしょうから、やはり季常にお任せしましょう。それに私には貴方がおりますし」

片付けが終わった卓の上にあるお互いの茶碗が空になった様子を眺め、諸葛亮は椅子から立ち上がる。

「季常から義兄と呼ばれる嬉しさは、他の誰にも代えられませんからね」

そう言いながら新しい茶を淹れようと茶碗を手に取ろうとすると、馬良がたおやかな仕草で諸葛亮の動きを制した。

「ありがとうございます、ですが今日は沢山戴きました。わたくしはこの辺りでおしまいにさせて下さい」

諸葛亮がそっと自分の手に添えられた相手の細い手を取れば、馬良がはにかむように白い歯を見せる。

「ご馳走様でした、義兄上」

「こちらこそ、美味しそうに食べて貰えて嬉しかったですよ。ではこのまま貴方の部屋へ案内しましょう」

「あ・・・お部屋、ですけれども」

空いた手を握られている手に重ねて、馬良が甘く笑みかけた。

「もう少し、義兄上と」

食事の後、使用人を皆下がらせた客間は、諸葛亮と馬良の二人きりである。

それでも控えめに甘える相手のしとやかさを、諸葛亮は愛している。

季常、と囁くように名を呼んで、軍師は自らの部屋へと白眉を誘うために優しく手を引いた。

 

寝台に馬良を腰掛けさせると、諸葛亮は彼の艶やかな黒髪を丁寧に撫でつける。

酷く優しいその手付きに、馬良は顔を赤くして俯いてしまっていた。

「あ、義兄上・・・申し訳ありません・・・わたくし、とてもはしたないお願いをしてしまって・・・」

自分より長く伸ばされている黒髪を愛おしそうに指で梳きながら、落ち着いた声で諸葛亮は否と返す。

「その様な事はありません。むしろ、以前に比べたら随分と私に甘えるようになってくれて、嬉しいですよ」

口元を袖で隠しながら、馬良は相手に顔を向ける。

「・・・そうでしょうか?」

ええ、と諸葛亮はゆっくり頷いて、相手が袖で隠している頬に指先を滑らせた。

「とても愛らしくなって、こちらも甘やかし甲斐がありますね」

ひゃあ、と馬良は小さく叫んで今度は両の袖で顔を隠してしまった。

顔は隠れているが、首筋まで赤くしている様子は、傍らの諸葛亮にはっきり見えている。

「あの、いけません、やっぱり恥ずかしい、です!」

盛大に照れているせいで言葉遣いまでたどたどしくなってしまった馬良を、諸葛亮が穏やかに抱き締めた。

「大丈夫ですよ、此処は季常と私だけの場所。顔を見せて下さい」

「でも、あにうえ・・・」

「此処では名で呼ぶものですよ、季常?」

抱き締める腕の力を緩めて顔を覗き込むと、馬良がおずおずと袖から顔を上げる。

「・・・孔明、様・・・」

目の前の相手は、慈しむような光を瞳に湛えて微笑んでいた。

「漸く、間近で貴方の顔を見る事が出来ました」

馬良の白眉を優しくなぞると、そこに口づけを落とす。

「美しい私の季常」

そして目蓋、頬、鼻先へと口づけが下りてゆく。

「怖いですか?」

自然と己へ身を預ける馬良に諸葛亮が小さく尋ねると、目元を潤ませた相手はゆるりと首を振って笑みかけた。

「いいえ・・・孔明様ですから」

そう返して甘えるように胸元に手を添えた馬良の様子に、諸葛亮が小さく喉の奥で笑う。

「これは、参りました」

「・・・え?」

意外な言葉に、馬良がきょとんとした顔で義兄を見ると、相手は眉を下げて困ったように首を傾げている。

「口づけのみで終わらせようと思っていたのですが、どうも無理そうです」

相手の言葉を聞いた馬良も恥ずかしそうに笑って、肩を竦めた。

「わたくしは元からそのつもりでしたのに」

「明日の心配は無いのですか?」

「貴方様と共に居ることの出来る今だけを、わたくしは想っております」

「初めから誘われていたのですか、私は」

淡々とした口調でこちらに問い続けているが、諸葛亮の心が揺れている様子は馬良に伝わっている。

そんな義兄へ悪戯をするように、馬良は相手の顎髭を人差し指でついと撫でた。

「ふふ・・とんでもありません。わたくしは孔明様のように策士にはなれません、ただ願っていただけ。貴方様と、再びこの様な夜を過ごせる時を」

返答のように腰を引き寄せられて、馬良は口元に笑みを残したまま目を閉じる。

もう一度、相手の眉から頬の線を唇でなぞった諸葛亮は、その耳元へ口を寄せた。

「では認めましょう・・・今夜は私の負けです、季常」

諸葛亮から囁かれた言葉に、彼を想う馬良の心が融ける。

久し振りのとろけるように甘い二人の逢瀬は、夜更けを過ぎても続いた。

お互いの熱がようやく引いた頃、傍らで自分に甘えきった表情で幸せそうに眠る馬良を見つめ、諸葛亮は初めて明朝の遅刻の言い訳でも考えてみたくなる程の思いを抱きつつ、相手の美しい白眉にそっと優しく唇を押し付けた。

 

 

 

(終わり)

 

 

 

 

えええと、孔明×馬良でした。孔良、の略で良いのでしょうか?

まあマニアック過ぎるので略に悩むまでもなさそうです(笑)自分が大変楽しかったので良しと・・・

以前書いた作文では馬良さんが孔明さんに片思い、という体のお話ばかりでしたので、両想いにしたらどうなるかなと思ってやらかしてみました。

自分の中の馬良さんはおしとやかで清楚で可愛らしい補正が物凄い人になっているので、そんな人が不器用に誘ってきたら孔明さんでもグラリと落ちそうですよねと。

ちなみに、このカップリングでは孔明さん独り身設定にしています。

お付き合いくださいまして、ありがとうございました!