こんにちは!

六月です!本能寺の変です!!(それ戦国の話)
・・・戦国の作文がまるっきりですみません、とココで言うなとも思いながら、すみません・・・

今回は何を思ったのか、という組み合わせの思い付き作文です。
無双の法正さんとオリジナルな馬良さんでのお話です。
・・・なんというマニアックな物をやらかすのですか(談:諸葛亮)
孔明さんに対する感情が正反対な二人を会わせてみたらどんな感じになるかな、という面白半分な作文となっています。
馬良さんは孔明さんとカップリング前提でのお話となっておりますのでご注意ください。

そんな摩訶不思議な作文でも時間潰しに・・・と言って下さる方がいらっしゃいましたらお付き合いくださいませ!!

※いつも拍手、コメントを下さいましてありがとうございます!!!
拍手頂くとウワァァァって喜んでますし、コメントまで頂くとキャァァァァありがとうございます本当ですかありがとうございm・・・と舞い上がって喜んでおります(実話)
時折、こんな作文で良いのか?と自問したり自分の不足を嘆いて足が止まる事もあるのですが、皆様からの温かい拍手やお言葉を読み返して元気を頂いております、とても嬉しいです。
お忙しい中、いつも遊びに来て下さいまして誠にありがとうございます!!!(ぺこり)
これからもどうぞ宜しくお願いいたします♡

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理由 <馬良と法正>

 

 

 

己の政務室の扉の叩き方で、姿を見る前から大体誰が来たのかは予想がつく。

控えめにゆっくりとコツ、コツ、と二回扉を鳴らし、それから一呼吸置いてそっと扉を開いた人物を、法正は予想通り、と横目でちらりと見遣った。

「失礼いたします。法正様、お邪魔しても宜しいでしょうか?」

片手になにやら書簡を抱え、穏やかな口調でこちらへ問うてきたのは、美しい黒髪と白眉を持つ馬良季常である。

「構いませんけれど、なんですか?」

いつも通りのぶっきらぼうな返しにも馬良は臆することなく、口元に微笑を浮かべ法正の居る机の前までゆったりと歩みよりながら口を開いた。

「先日の軍議をまとめた書簡をお持ち致しました。後ほど確認して下さいませ」

そう言いながら書簡入れに持参した書簡を置く馬良に、法正が片眉を上げて鼻を鳴らす。

「馬良殿に書簡運びなどをさせているのですか?諸葛亮殿は」

小さな棘が含まれたその言葉に、白眉は困ったように笑って首を振った。

「いいえ、たまたま龐統様に用事がありましたから、わたくしが姜維殿から預かったのです。龐統様のお仕事部屋は法正様のお隣でしょう?」

法正は龐統の居る部屋の方へ目線を向けるが、益々面白くない顔をする。

「理由はどうあれ駄目ですよ、こんな雑務をしては」

相手の不興の訳が分からない馬良は、胸元で手を組んで首を傾げた。

「そうなのですか?」

不思議そうな顔をしている馬良に、法正はやれやれとため息まじりの苦言を呈し始める。

「良いですか、貴方はこの蜀で重要な職務を担っている一人です。ゆえにそれなりの体裁は大事にして貰いませんと、下の者達への示しがつきませんよ」

「あ・・・そういえば、以前似たようなお話を他の方からもされた気が致します」

顎に指先を当てのんびりとそう言う馬良を見て、法正は前髪を掻き上げながら口元をへの字に曲げた。

「前から言われてたのなら尚更勘弁して下さいよ、なんで俺がこんな事で馬良殿に説教しなきゃいけないんですか」

うんざりしたような相手の口調に、馬良は白眉を下げてしおらしく頭を下げる。

「申し訳ありません・・・わたくしの軽い思い付きから法正様のお手を煩わせてしまって」

随分としょげてしまった馬良の様子に、今度は法正の方が居心地悪そうに椅子から立ち上がった。

「・・・どうせ、また姜維が死にそうな顔で奔りまわっていたのが貴方の目に映ったのでしょう?」

「・・・ええ・・・」

机から離れ、窓際から雲の流れを見ながら馬良の小さな返答を耳にする。

いつも強い言葉を使う自分にも動じず、穏やかな様子で接する馬良を法正は嫌いでは無かったが、姜維、という存在から連想するある人物の影を察して、思わず余計な言葉を言ってやりたくなった。

「姜維くらいに若いのは、あれくらいの忙しさじゃ死にませんよ。それとも何ですか、彼が」

途中で言葉を止めた法正に、馬良が何事かと顔を上げると、相手は目の奥を光らせてこちらを見据えている。

「諸葛亮殿の、弟子だからですか?」

じわりと、低い声で馬良へ問うてきた。

相手の詰問に馬良は少し驚いた顔を見せたが、すぐにゆったりと首を振って見せる。

「それは違います。今回はたまたま姜維殿が困っていたから助けただけ。誰の弟子だからとか、わたくしにそういったこだわりは御座いません」

優等生の回答に、法正は心底つまらなそうな顔になって腕組みをした。

「ふうん、ずいぶんと心の広い『良い人』ですね」

策士の嫌味を聞いた馬良は小さく笑って、口元を袖で隠す。

「良い人だなんて・・・とんでもありません。偉そうな事を言った後ですけれども、わたくしにだってお手伝いしたくない方は居るのですよ?」

珍しいことを語る馬良に、法正が片眉を上げて意外そうな声を出した。

「ほう?こんな馬良殿にまで嫌われる相手とやらはどこの者でしょうか」

興味深げに問われた白眉は、口元を隠したままの姿で法正をじっと見つめる。

いつもはたおやかで優しい光を湛えている彼の瞳が、ほんの一瞬、きらりと鋭く煌めいた様子を法正は見逃さなかった。

「蜀帝を、劉備殿を害する方々、とでも申し上げておきましょう」

馬良の言葉を耳にした法正が、顎を撫でながら低く笑い出す。

「これは・・・俺の予想以上に大人数だった」

相手の笑い声に馬良もにこやかに頷き、行儀よく胸元で手を組んだ。

「はい。ですからわたくしは良い人、などではないのですよ?法正様」

「そうですか、俺はてっきり」

そこまで言いかけた法正だったが急に口を噤む。

黙りこくった法正に続きを促すことを馬良はせず、窓際で顎を撫でている相手を穏やかに見つめながら、自らの口を開いた。

「此処にいらっしゃる皆様は、殿をお慕いして集まられた方々だとわたくしは思っております。その集まりの中で、個人的な好き嫌いだけでお仕事をする、しないということは、最終的に劉備殿にとっての不利益となりましょう。法正様も孔明様も、皆様それをきちんと理解されて殿の為にお仕事をなさっていらっしゃる・・・わたくしも、皆様を見習って、そうありたいと思って心がけている、それだけでございます」

自分が口を噤んだ理由を見透かされたような相手の話に、法正は不機嫌な声を出して小さな動揺を隠そうとする。

「貴方はいつも模範解答のような事を言いますね、全く面白くないですよ」

法正の心中を知ってか知らずか、馬良は痛烈な駄目だしをふわふわとした微笑で受け流して軽く頭を下げた。

「ふふ、長居をしてしまった割に、つまらないお話しかできなくてすみません。そろそろ失礼致しますね」

退室の意思を表した馬良に、法正が片手を上げて彼を引き留める仕草を見せる。

「嗚呼、面白くないついでです馬良殿、諸葛亮殿の話でも聞かせて下さいよ」

こちらに背を向けようとした馬良が、意外そうな表情で首を傾げた。

「孔明様のお話、ですか?」

窓際から馬良の方へ歩み寄りながら、法正がいつもの口調でそうそう、と続ける。

「俺のまえでは取り澄ました顔しか見せない方ですからね。ちょっとくらいあの方の話を教えて下さいよ、貴方しか知らないような話を」

「わたくししか出来ないようなお話など・・・」

戸惑う馬良に顔を近付けて、法正が片側の口角だけを上げて意地悪そうな声で囁いた。

「なんなら艶っぽい話でも良いですけれど?」

ひゃあ、と馬良が真っ赤な顔になって法正から慌てて距離を取る。

「か、からかわないで下さい!」

「おや、その様子では随分と愛でられているようですね」

「っ!そのようなお話は致しません!!」

「じゃあどんな『お話』をしてくれるんですか?」

腰に手を当てて可笑しげにこちらを見つめる法正を前に、馬良は顔を赤くしたまま少し言葉を探した。

「・・・わたくしが・・・」

呟くように出した言葉を止めて、馬良は凛と法正を見つめ直す。

「わたくしが、つまらないお話などせずとも宜しいのではないですか?」

「面白い、つまらないと判断するのは俺です、まずは聞いてみないと分かりませんよ」

胸元に置いた手をぎゅっと握りしめ、馬良は首を振った。

「いいえ、貴方様は孔明様の事を良くご存じです。わたくしの言葉など要らない程に、法正様はあの方を良く見ていらっしゃる筈」

自分が諸葛亮を慕うことと、法正が彼を斜めに見る事は似ている、と馬良は言う。

急に己の話を白眉から語られ、驚いた法正は口を挟む余裕を無くした。

「それぞれの感情は違いますが、孔明様を気にかけて見ている事実は同じでございましょう?」

諸葛亮の事を気に掛けている、と直球で指摘された法正は苦虫をかみつぶしたような顔をするが、馬良は動じない。

「法正様が孔明様のお人柄を、声高に一方的な非難をされる方では無い事をわたくしは知っているつもりです。それは貴方様があの方の良い所もちゃんとご覧になって下さっているからだと。ゆえに、わたくしは己の足りない言葉で語る事を恥じ、口を噤むのです。失礼をお許しくださいませ、法正様」

言葉を失っている法正に構わず、しとやかに頭を垂れ、扉の取っ手に手を掛けた馬良は、もう一度法正へ軽く会釈をして音も無く退室して行った。

馬良からの思わぬ反撃に、法正は前髪を掻き上げて大きなため息を独りの部屋に吐き出す。

これだから諸葛亮の周りに居る者は、と苦々しく思う一方、あれだけ自分に思いきりの良いことを言える白眉を面白い者だとも思ってしまって、己もヒトが良いのかも知れぬ、と法正は小さく笑った。

 

「どうしましょう、龐統様」

法正の部屋の隣、龐統の仕事部屋で涙目になっている白眉がいる。

「思わず法正様に余計な事を喋ってしまいました・・・」

「お前さんがそんな顔することはないよ、ほら茶でも飲んで落ち着きな」

のんびりと龐統から宥められつつ熱い茶を受け取った馬良は、それでも不安そうな顔をして俯いた。

「大丈夫でしょうか・・・孔明様にご迷惑などお掛けしないでしょうか・・・」

「お前さんは間違った事を言うヒトじゃあないよ。それに法正殿もちゃあんとお前さんの話を分かっているさ」

「でしたら良いのですけれども・・・」

馬良の隣の席に龐統は腰掛け、安心させるようにぽんぽんと相手の背中を軽く叩いてやる。

「しかしまあ、良くもそこまで言ったもんだ。孔明だって驚くだろうさ」

諸葛亮の名を聞いた馬良は、びっくりして彼らしくない素早さで立ち上がる。

「ほ、龐統様!義兄上には、あの、どうか」

「ははは、言わない、言わないよ。あれにこんな話したらお前さんの心配で仕事が手につかなくなるだろうからねえ」

「ああ・・・ありがとうございます」

僅かに安堵の笑みを見せた馬良に頷いて見せながら、龐統は一つの書簡を手に取って軽く振って見せた。

「ほら、いつまでもそんな顔してたら孔明が心配するよ?お前さんがもう少し落ち着いたら、ぼちぼち仕事に戻ろうかねえ」

熱い茶を一口啜って、馬良ははいと頷いて、ひとつ深呼吸をする。

「そうですね、このお茶を戴いたら、お仕事に戻ります」

「ああ。ゆっくり飲むと良いさ」

己の机に戻りながら、龐統は同僚の義弟を優しく見守った。

本人たちの瞬間的な感情からの発言だったにしても、その法正と馬良のやり取りは、間接的に諸葛亮を柔らかく繋いでくれる出来事になってくれるだろうという予感が彼にある。

劉備殿の下で気の合わない策士と、理解のある義弟の二人がいる事実こそ、お前さんには幸せなのだよと龐統は自分の事のように口布の下で嬉しげに笑んだ。

 

 

 

(終わり)

 

 

 

 

 

法正さんのお話をたまに書いてみたいな、と思いまして。

諸葛亮さんだけだとお互いのプライドやらなにやらで冷静な口喧嘩が始まりそうだったので、馬良さんを投入してみたらどうなるかな、という妙な取り合わせになりました。

法正さんは諸葛亮さんのライバル、というのは馬良さんにもしっかり分かっているので、敢えてそういった部分に入り込まない気遣いをしてます。

それを法正さんも分かっているけど、思わずかわいい子に意地悪したくなったら反撃された、みたいな。

好きも嫌いも、相手を気に掛ける事としては一緒なので、正反対のようで私達は一緒でしょう?とかわいい子から突っ込まれる法正さんを書きたかったのでした。

読み直したら後半の法正さん、素晴らしい程のセクハラ上司でしたすみません。
お付き合い下さってありがとうございました!