明けましておめでとうございます!
遅ればせながら、本年もよろしくお願いいたします。

今年は無双8も出るので、更新続けていきたいと思っております!
相変わらず不定期に遊んでいるので、気長にお付き合い頂けたら嬉しいです。

今回も趙劉話。
オロチ設定の趙劉、とさせて貰っております~
ベタな話ですが、お暇潰しになれば幸いです!!

いつも拍手等で反応下さいましてありがとうございます(嬉し涙)
拍手コメントは廃止になってしましましたが、メッセージやコメント欄等でお気軽にお声掛け頂けたらとっても幸せです、やる気が出ます!!!
これからも宜しくお願い申し上げます!!!

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冬のコラージュ

 

 

 

夜明け前に降っていたらしい雪は一寸くらいの積雪となって、寝起きの劉備を驚かせた。

寝間着の上に羽織った外套の前を掻き合わせながら、彼はさっそく誰の足跡も付いていない庭先へ出てみる。

これくらいの雪ならば大したことはないだろう、と今はすっかり晴れた空を見上げ、白い息を吐いて目を細めた。

ふんわりと純白の雪に覆われた世界は、見慣れた庭なのに全く違う気持ちにさせられる。

陽の光に輝く白い世界は眩しくて、美しい、だけれども。

「・・・やはり、寒いな・・・」

冷たくなってきた己の鼻の頭を軽く撫で、劉備は溜息をつく。

この美しい世界を堪能するのに、独りでは少し面白くなかった。

それに、一人ではどうにもこの寒さを誤魔化せないことに気付く。

供の候補と言えば、朝の挨拶に、子龍がそろそろ顔を出す頃合いではある。

彼が来たら共に雪の庭を歩くのも良さそうだが、木々の上へ彩り程度に積もった雪は朝日に照らされて、既に融け始めていた。

中途半端に雪が融けてしまった庭では感動も少ないと仁君は困ったように腕組みをして銀世界を前に佇んでいる。

その時、はさり、と雪が枝から零れ落ちた音で、劉備は何かを思いついたように目を輝かせ、近くの手すりに歩み寄った。

 

おはようございます、と綺麗な動作で朝の挨拶を済ませる趙雲に、身支度を整えた劉備も優しい笑みと共に挨拶を返す。

「おはよう、子龍。今日は一段と寒いな」

「はい。雪が積もりましたから。ご覧になりましたか?」

「ああ、窓を開けて驚いた。それで思わず、」

そこまで言って、劉備は内心しまったと急いで口を噤んだが、趙雲はにこにこしながらもしっかり聞いていたらしい。

「お着替えもなさらずお庭に飛び出されたのではないでしょうね??」

傍らで見ていたかのような趙雲の言葉に、図星を突かれた劉備は笑って流そうとした。

「はは・・・いや、まあ」

主君の様子に、穏やかだった趙雲の目つきに鋭さが混じる。

「・・・この様な寒空の下、薄着で、外に出られたのですか?」

「だ、大丈夫だ!外套は羽織ったから!!」

慌てて趙雲の追及を躱そうと事実を口にしたが、それが悪い方に傾いたらしい、忠臣の眉間に深く皺が寄った。

「そう言う事ではありません殿!!あれほどお話しているではありませんか!ご自身御一人のお身体ではないと!!!」

そう言うや彼は劉備の近くへ歩み寄り、己の手で相手の両手を包み込む。

「なんと、こんなにお手を冷やしてしまわれて・・・今すぐ、温かい物を準備させましょう」

大きな手の温もりと、間近で語る趙雲の心配そうな声を聞いて、大袈裟な、と言いかけた己を劉備は反省した。

飲物を用意させる、と離れかかった趙雲の手を、劉備が急ぎ押し止めて温もりを繋ぐ。

「その前に、子龍に見せたいものがあるのだ」

主君の言葉に、趙雲は心配そうな表情のまま首を振った。

「私の事でしたら後で宜しいのです。まずは殿の」

劉備も首を振って、繋いだ手を行き先に向かってそっと引く。

「それでは見せたいものが居なくなってしまう。子龍、どうか私の我儘を聞いてはくれぬか?」

小さく笑みかけて懇願するような声を出すと、忠臣は困ったように眉を下げてちょっと目を泳がせた。

「・・・ですが・・・」

趙雲の困り顔で自分の勝ちだと分かった劉備は、朗らかな表情で相手を庭へ向かう扉へと誘う。

「すぐに終わる。さあ行こう」

劉備に手を引かれて庭先の手すり前まで来た趙雲は、手すりの上に何か小さな塊があるのを見つけた。

「良かった、まだ融けないで居てくれたか」

嬉しそうに空いた手で小さな二つの塊をつつく劉備に、趙雲は不思議そうな声を出す。

「殿、これは・・・?」

「以前、日ノ本の武将から教えて貰ったのだ。雪うさぎ、というモノらしい」

船形を引っ繰り返したような形の二つの雪塊に、それぞれ南天の葉と実で耳と目がついて、兎らしき姿に仕上げられていた。

「本当は子龍と庭の雪景色を楽しみたかったのだが、陽の光であっという間に融けてしまいそうだったからな。替わりにこれを見せようと思って」

つぶらな紅い瞳の雪うさぎ達を見つめながら、趙雲は己の耳がじんわりと熱くなってくるのを感じる。

黙ったままの忠臣に構わず、劉備は楽しそうに話を続けた。

「日ノ本の者達は、この兎を作るだけでなく、融けるまでの様までも楽しむのだそうだ。儚さを楽しむのだと」

面白い話だろうと劉備が趙雲へ目を遣ると、彼は雪うさぎではなく、こちらを真っ直ぐに見つめていた。

熱のこもった趙雲の視線に、劉備の胸がどきりと鳴って一瞬、言葉を忘れる。

「劉備殿」

しっかりとした口調で名を呼ばれ、もう一度両手を握られた。

「お手を冷やされたのは、この為だったのですか。私の為に、このような」

趙雲が見つめる前で、劉備の頬がじんわり赤く染まる。

面と向かってそう問われると、流石に気恥ずかしい。

目を泳がせて、言い訳がましい言葉をつい口にしてしまった。

「うん・・・雪が美しくてな、思わずはしゃいでしまった、年甲斐もなく」

「そのような劉備殿ですから私はお慕いするのです」

笑って流して貰おうとしたのに、朝から真っ直ぐな告白を受ける。

「っ!しりゅう」

首まで赤くなった自分の顔を隠したいが、両手は趙雲にしっかりと握られて隠せない。

俯いてしまった劉備を見つめながら、その可憐な姿を抱き締めたい衝動を趙雲は必死に抑え付けて相手に語り掛けた。

「殿、お寒くはありませんか?」

「ああ・・・今は陽が温かい。大丈夫だ」

「でしたら、いま暫くこのままでも宜しいでしょうか」

相手の片手が離れ、俯いている自分の頬が優しく撫でられる。

それを合図のように劉備が顔を上げると、趙雲が気恥ずかしげに笑んでいた。

「貴方様が作って下さった愛らしい兎達を、目に焼き付けておきたいのです」

劉備がちらりと横目で兎を見ると、だいぶん融けて南天の耳が落ちかけている。

「ふふ・・・随分不細工になってしまっているが、良いのだろうか?」

「はい。姿が無くなるまで見とうございます」

遠回しに、共に居たいと告げられた事に気付いた劉備がはっとした表情を見せると、趙雲は照れ隠しのように兎へ目を遣った。

「その、殿がせっかく作って下さった兎達ですから」

大胆な告白をしたかと思えば、今は盛大に照れている若者の様子が愛おしくて、劉備の口元が緩む。

「では子龍、こうしよう」

劉備は空いた片手を捕まえ、再び両手繋ぎにすると、趙雲に笑い掛けた。

「手が冷えないように温めていて欲しい」

この提案に、趙雲の顔がぱっと輝く。

「っ、承知致しました!では、お手だけでなくお身体を冷やさないように、こちらへ」

手をぐるりと回され、趙雲の前に誘われると、後ろから護られるような姿で両手を前で握り締め合った。

抱き締められている訳でも無いのに、背中から趙雲の体温が伝わってくるようで温かい。

「私で風除けにもなりましょう」

「ふふふ、これは助かる」

じわりじわりと融けて姿があいまいになってゆく雪の兎達を見つめながら、いま少し、いま少しと劉備と趙雲はお互いの温もりが離れるまでの時間を惜しんでいた。

 

 

 

(おしまい)

 

 

 

 

あけましておめでとうございます!

年初めの更新ですが相変わらずです、というのが毎年の台詞になってきております。

先日、地元で大雪にあってワタワタしたので雪ネタで・・・雪うさぎのネタはBSRで書いた気がしますが許して下さい、雪とか寒いネタでくっつく話が大好きなだけでして。

雪うさぎの本来の逢瀬ネタとかもちょっとやりたかったですが、またいつか。