こんにちは!
こちらのサイトでは二か月振りとなっております・・・元気です・・・スミマセン

 私の方はお陰様で大きく体調を崩す事も無く過ごしております。
 世界規模の大きなニュースで世情が不安定なこの頃ですが、今はただ皆さまが心穏やかに過ごせますように、早くこの脅威が終息しますようにと願うばかりです。

 その自分に出来る事のひとつが創作、という形でもありまして、今年は趙劉で本を作ることをメインに年始は設定しておりました。
 ですが、印刷所さんにデータ入稿等々をしたことがないど素人ですので、いきなり膨大なページ数の本を作るのは冒険が過ぎやしないか、と気付きまして。
 まずは取っかかりやすい分量で本を作ってみよう、と思って企画したのがこちらの簡雍と劉備のカップリング本です。

・時代設定は劉備が関羽と張飛の義弟達と出会う前、二十歳頃を想定しています
・その劉備の幼馴染で親友でもある簡雍との創作話
・本文はテキストのみの小説52p、A5判サイズ
・価格は400円+送料、BOOTHのみでのお取り扱い
・年齢制限が必要な内容の為、18歳以下の方の購入は出来ません
・販売開始日は2020年4月10日前後を予定
・ご購入下さった方にはオリジナルの一筆箋がオマケにつきます

と、作品的にはこのような感じです。
 ピクシブには一足先にお試し読みのページを作りましたが、此方ではもう少し分量を多くしたお試し読み部分を上げておきます。
 宜しかったらこちらもご覧くださり、本のご購入を検討していただければと願っております。

それでは「幻夜一夢」のお試し読み、別ページまたは以下より始まります!
宜しくお願い致します!!

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※お試し読み版

幻夜一夢(簡雍×劉備)

 

 

 

 酷い嫌悪感と恐怖と吐き気を覚えつつ、グラグラと視界が揺れる中で見えた、赤の色。

 己が着せられた装束の華やかな緋色、玉の置物やら豪華な室内装飾が施されている部屋にともされた灯りの橙色、そして自分の足元でぴくりとも動かない男の割れた頭から流れ出ている、濁った鉄赤色。

「・・・行くぞ、立てるか」

 そう言いながらこちらへ手を差し伸べた相手の声は、この場の惨状に似合わない、とても落ち着いた声だった。

 部屋の外から、家主の異変を知ったここの召使たちが慌てふためく声が聞こえてくる。

 早くこの手を取って共に逃げ出さなくては、と寝台より立ち上がろうとするが、吐き気と眩暈が酷くて平衡感覚が保てない。

 それでも無理をして素足を床へ付けてはみたけれども、膝が面白いようにガクガクと笑って、言う事を聞いてくれなかった。

「け・・・けんわ」

 己の身体ではないような状態が恐ろしくて、手を差し伸べている相手へ慄いた声を出すと、彼は眉間に皺を寄せて小さく舌打ちする。

「このクソ変態、何かしやがったな」

「憲和、私の事はいい。お前は逃げてくれ」

 自分は立ち上がれないから、と真っ青な顔で続けると、目の前の親友は次に盛大な舌打ちをしてこちらへ歩み寄った。

「馬鹿野郎。俺が此処へ戻って来たのはお前を連れて帰るって目的しかねぇんだよ。・・・ほれ、早く掴まれ」

 寝台の上の劉備の脇の下に片手を入れ、もう片腕を膝の下へ差し入れると、簡雍は相手を軽々と抱き上げる。

 その動きに合わせて、劉備に着せられている緋色の装束に付けられた金銀宝石の飾り達が互いに揺れ、ぶつかり合って、澄んだ金属色を立てた。

「心配すんな。ここの奴らは変態の金だけに群がって働いていた連中だ、肝心の財布が死んじまえば義理も道理もねえってな。あの騒ぎは奴らがトンズラする前に金目の物を頂いていこうって物音だろうよ、俺達を殺す余裕なんざないって空気だ」

 劉備を安心させるような言葉を口にしながらも、簡雍は鋭い視線で周囲を伺いながら寝室を出て、庭を横切り、裏口へ向かおうとしているらしい。

 寝室の扉を彼が開いた時、劉備の鼻が血なまぐさい匂いをかぎ取った。

「憲和、まさか」

 先ほどの室内での光景を思い出し、ぎょっとした様子で扉の周囲へ目を遣ろうとすると、こちらの上半身を支えている簡雍の腕が劉備の顔を己の肩口へ押し付けるような動きをし、低い声が響いて来た。

「いいか、家に着くまで何も言うな、考えるな。目を瞑れ。玄徳」

 寝室の扉の前で喉笛をかき切られ、完全にこと切れている二名の用心棒の死骸の上を簡雍は無感情に跨ぐと、本宅の騒ぎを背に夜闇へ紛れた。

 

  

 これはまだ、劉備玄徳が後の義兄弟となる関羽、張飛と出会う前の話。

劉備は、地方の小さな村に住んでいる、歳は二十を越えたあたりの若者である。

 幼くして父を亡くした彼は母と共に草履や筵を作り、それを周辺の地域へ売る、という日々を過ごしていた。

 しかし、そうした品は毎日決まった数が売れるわけでは無い。

 品物自体の金額も安い。

 そうなると、母子の生活が困窮する時がある。

 劉備自身は水で空腹を満たして一晩くらい誤魔化すことは厭わないのだが、苦労して自分を育ててくれた母にはせめて温かい物を食べさせたいと思う、が、そのささやかな願いですら敵わない時もままあった。

 そんな金儲けが下手な彼を心配して、簡単な副業をしないかと時折誘ってくれる幼馴染が居る。

それこそが簡雍憲和であった。

 簡雍は劉備と同じ村に住む同世代の若者で、幼いころから仲の良い親友だ。

 だが、生き方は劉備と反対のようなところがある。

 酒も飲めない時分から酒家へ入り浸って大人たちの会話に平気で混じっていたり、夜更けまでいかがわしい場所へ出入りしている、などという話も漏れ聞こえてくるような男なのだが、人柄は明るく誰にでも気さくな人物ゆえ、真面目な劉備とはまた違う魅力から、多くの友人知人がいるのであった。

 その顔の広さから、今日も簡雍は何か話を仕入れて来たらしい。

実直に藁を編んでいる劉備の元へやって来て、よおと明るい声を出した。

「玄徳、調子はどうだ?」

 遊び人のように着物の前合わせをはだけ、癖の混じった髪を適当に結っている、いつものだらしない恰好で簡雍は家の中へ入って来て笑い掛けて来る。

 人懐っこい相手の笑顔に劉備も笑み返しながら、ああと頷いた。

「相変わらずだ。憲和の方はどうだ?ここ暫く村に居なかったようだが」

 劉備の隣へ座り、その手元を眺めながら簡雍は嗚呼と答える。

「おう、ちっと隣村のやつに頼まれごとをされてな、遠出して来たんだ」

 周辺の村々にも知り合いがいる簡雍は、あちこちの地域で仕事を請け負って稼ぎとしているらしい。

 その業種が実に多様らしく、劉備も何回か簡雍へ訊ねた事はあるのだが、いくつか簡単に教えて貰っても彼の中で正確に把握が出来ず、取り敢えず何でも屋と言われるものなのだろうな、という認識で親友の仕事ぶりを聞くことにしていた・・・・・・・



(幻夜一夢、本文へ続く)