こんにちは!
久しぶりにちゃんと更新です。

先日発行した簡劉本ですが、通販のみの取り扱いにもかかわらずご注文下さった皆様、誠にありがとうございます!!
本が出来上がって来てから山ほど誤字やらページ構成やらで真っ青になっているのですが・・・
そんな本にも関わらず感想を送って下さる方、BOOSTにて応援してくださる方と温かい応援を頂いております。
本当にありがとうございます!!!

さて、今回はTwitterにて投票していただいた現パロ趙劉の短いお話です。
設定は、昨年本としても出した「ともしびのように」の二人となっております。
最近稀に見る本当に短いお話ですので、さらっと楽しんでいただけましたら嬉しいです~



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Happy rainy day <現パロ趙劉・おまけ話>

 

 

 

 さぁっと細かい雨が窓に当たるさざめきで、微睡んでいた劉備の目がはっきりと覚めた。

 彼は横向きの体勢で枕から頭を上げないまま、背中側の窓から聞こえてくる湿った音に耳を傾ける。

 今日は天気のせいか、掛布団から出ている肩が少し寒いようだ、と劉備が片手で布団を引き上げると、その後ろで身じろぎをした人物がいた。

 カーテンの隙間より差し込む明るさから、朝方であろうと察しはつくが、雨空特有の薄暗さから正確な時刻までは分からない。

時間を確認したい、と劉備はサイドボードへ目だけを動かすが、ベッドから起き上がらないとそこに置かれた時計は見えない高さだ。

 だが、彼の身体を背後から緩やかに抱き締め、現在小さく寝息を立てている相手の手を外してまで起き上がろうとは思わない劉備は、再び瞼を閉じる。

 今日はどのみちお互い休みなのだ、二度寝をして困ることは無いと劉備は己の身体に回されている相手の腕に手を添えれば、眠っていた筈の人物が彼の手をやんわりと捉えた。

「・・・おはようございます」

 寝起きの、少しぼんやりとした声が劉備の耳に届く。

 その声で身体を動かしても大丈夫だろうと判断した劉備は、体勢を変えて同じベッドで横になっている相手と向き合う形になる。

「おはよう、子龍」

 覚醒しきっていないであろう相手へ穏やかに挨拶を返すと、案の定、瞼が開き切っていない若者は劉備の言葉に目を細めて微笑んだ。

「劉備殿・・・」

「まだ時間は早いようだ、そなたはもう少し寝ていると良い」

 己の首元まで掛布団を引き上げながらそう話してくれる劉備へ、趙雲がおやと小さな声を出す。

「貴方は・・・?」

 子供を寝かしつけるように趙雲の頭を優しく撫でて、劉備は上半身を起こしかけた。

「目が覚めたついでに、早めに朝食の準備をしておこうとな」

 仕事の関係で帰りが遅かった趙雲を労うつもりで劉備はそう話したのに、途端に相手の腕が伸びてきて、彼の身体を引き留める。

 そのまま趙雲の胸元へ力強く抱き込まれ、布団の中へ逆戻りさせられた劉備が窘めるような声を上げるが、相手は構うことなく眠そうな目を閉じた。

「こら、離さないか」

「嫌です」

 劉備を深く抱き込んだ趙雲から、明確な拒否の言葉が返って来る。

 がっちりと己を抱き締め、こちらの髪の毛に鼻先を潜り込ませるようにして二度寝を始めようとしている相手に、劉備は成すすべがない。

「・・・朝食の用意をするだけだぞ?」

 腕の力は強いのに、声はひどく眠たげな趙雲がいいのです、と返す。

「食事は、私がしますから・・・このままで・・・」

「子龍?」

「昨夜・・・・・劉備殿は・・・ずっと向こうを向いて休んでいらっしゃって、寂しかったものですから・・・・・」

 話の後半は寝息まじりで、今は既に夢の中の趙雲とは反し、彼の腕の中に囚われている劉備は顔を赤くして、己の拍動のやかましさに目がすっかり覚めてしまっていた。

 自分は同じベッドで眠りを共有できているだけでも幸せだと思っているのに、相手はこちらの寝相ひとつで物足りなさを感じるらしい。

 付き合い始めの頃の趙雲だったら、絶対に口にしない言葉であっただろう。

 これは困った、と気恥ずかしさから逃げ出したくなった劉備の頭に、初めの頃の我儘を口に出せなかった趙雲が蘇った。

 その時分の相手を知っている劉備は、己の恥ずかしさの後から新しく生まれた嬉しさを感じて、自然と口元を緩める。

 素直に甘えてくれるようになった若者のようには言えない劉備だけれども、彼なりの甘え方で趙雲のパジャマの胸元を軽く握った。

「なら、朝食は私の好きな物を作ってくれ」

 胸元に顔を埋めてそう囁くと、夢の中にいるはずの趙雲から、はい、なのか、うん、なのか分からないような、寝息に混じった返事が聞こえた気がする。

 窓に当たる雨の音は、途切れる様子がない。

 相手の規則的な寝息と温もりに、目が覚めたはずの劉備も心地が良くなって、再びゆるりと瞼を下ろした。

 

(おしまい)